『闇の喇叭』 - 万能天国ハヤシライス

久々、有栖川有栖の新刊読んだよッ

しかし今となっては倒産してしまった理論社の刊行なのである意味レア本ですな。
装丁、美しいし本棚の飾りとしても需要ありそうなものだけれど……。

内容はパラレル現代史モノとでも言うべきか

本州と北海道で分断された架空の現代日本が舞台
職業探偵が犯罪者として追われる統制された社会で
不可思議な殺人事件が発生し…といったところ。

ヤングアダルト向けという枠だったのか、文章自体は非常に読みやすく
活字離れ顕著な自分でもさっくり読めました。

が、

内容、大いにきな臭いです

私は嫌いじゃないし、作者のいいたいことも十分理解したつもりだけれど
おそらくこういう小説は、今の社会で確実に煙たがられるところだろうなあという印象。

作中の事件自体も解決はするけれど、背景にある謎は解明されず
かなり含みのある結末。悪く言うとバットエンドです。

有栖川有栖作品では珍しいですな

作中のソラの父親が作者氏に重なって見えて
こうやって探偵＝推理小説は滅びていってしまうのか、と場違いな切なさすら感じたりしましたぞ。

……。

結論→“国名シリーズ”はもう講談社ノベルズでは出ないの？