『空の中』

空の中 (角川文庫)

空の中 (角川文庫)

夏文庫枠その2。


かなり歯ごたえのある作品で、読了するのに気力が要りました。
読み味としては福井晴敏あたりに近いものがありました。


……。


つまりハヤシ的にちょっと苦手ということです(オイ!)



ストーリーはベーシックに…


“人類以外の知的生命体との初遭遇”+“少年の成長モノ”


原因不明の航空機事故で唯一の肉親を亡くした少年が
正体不明の知的生命を拾って
まるで肉親をなくした穴を生めるように交流を深めてゆき

そこに彼を心配する健気な幼馴染嬢や
生活感あふれるがゆえに真理に近いところにいる爺さま
がそれを見守っている…といったところから物語は動き出し


民間航空機会社のヘタレかっこいいお兄さんやら
超硬度ツンツンな自衛隊パイロットのお姉さん*1
亡父の復讐に燃える才媛などが加わって


雪だるま式にスペクタクルな展開へ…!といったカタチでした。



正直“ほのぼのモノ”を想像してたから、裏切られ感満載だぜい!!



まあなんとなくの、雰囲気だけで読んでしまったので自業自得ですが。


しかし、何の気なしに読んでゆくとどんどんどんどん
残酷な展開になっていってしまい
そりゃあもうハラハラドキドキ寿命は確実に縮んでゆきます(褒め言葉)


主人公の少年君など、元が悪い子でないので
余計に“たった一つ”の過ちだけで
どうしてそこまで追い詰められねばならんのだァ!と
辛い気持ちになったりも。



その“たった一つの過ち”でも
世界に自分に致命的になって返ってくるんだから
間違っても、辛くても気合入れて生きてかなきゃいけないんだぜ!


ということが根本のテーマにあるようですが
それを受け入れるには読者にも気合が必要です。


ヒトコトで言うと“すごく面白いがイタい話”でした。


巻末開設で新井素子女史がおしげもなく大絶賛していましたが
新井作品の豪快さに馴れている人には確かに楽しく読めるかも?


かなり読む人選ぶ作品ではないかなあ……。

*1:全然デレないところがまた愛おしい!