『空の中』
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/06/25
- メディア: 文庫
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夏文庫枠その2。
かなり歯ごたえのある作品で、読了するのに気力が要りました。
読み味としては福井晴敏あたりに近いものがありました。
……。
つまりハヤシ的にちょっと苦手ということです(オイ!)
ストーリーはベーシックに…
“人類以外の知的生命体との初遭遇”+“少年の成長モノ”
原因不明の航空機事故で唯一の肉親を亡くした少年が
正体不明の知的生命を拾って
まるで肉親をなくした穴を生めるように交流を深めてゆき
そこに彼を心配する健気な幼馴染嬢や
生活感あふれるがゆえに真理に近いところにいる爺さま
がそれを見守っている…といったところから物語は動き出し
民間航空機会社のヘタレかっこいいお兄さんやら
超硬度ツンツンな自衛隊機パイロットのお姉さん*1
亡父の復讐に燃える才媛などが加わって
雪だるま式にスペクタクルな展開へ…!といったカタチでした。
正直“ほのぼのモノ”を想像してたから、裏切られ感満載だぜい!!
まあなんとなくの、雰囲気だけで読んでしまったので自業自得ですが。
しかし、何の気なしに読んでゆくとどんどんどんどん
残酷な展開になっていってしまい
そりゃあもうハラハラドキドキ寿命は確実に縮んでゆきます(褒め言葉)
主人公の少年君など、元が悪い子でないので
余計に“たった一つ”の過ちだけで
どうしてそこまで追い詰められねばならんのだァ!と
辛い気持ちになったりも。
その“たった一つの過ち”でも
世界に自分に致命的になって返ってくるんだから
間違っても、辛くても気合入れて生きてかなきゃいけないんだぜ!
ということが根本のテーマにあるようですが
それを受け入れるには読者にも気合が必要です。
ヒトコトで言うと“すごく面白いがイタい話”でした。
巻末開設で新井素子女史がおしげもなく大絶賛していましたが
新井作品の豪快さに馴れている人には確かに楽しく読めるかも?
かなり読む人選ぶ作品ではないかなあ……。
*1:全然デレないところがまた愛おしい!