『虚空の旅人』
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/07/29
- メディア: 文庫
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やっとこ読んだよ、夏文庫枠(というか新潮新刊)!!
今回はバルサ、タンダといった面々はお休みで
主人公はチャグム、星読み導師のシュガもけっこう出てきます。
この二人だけ抜き出すと、単なる主従モノで
十二国記みたいなテイスト*1に思えてきますが
この巻のみどころは舞台になる南海の国サンガルの風土と
そこに暮らす人々、そして華麗に暗躍する姫君たちにあるのかなあと。
ストレートにチャグムの成長モノとしても十分な読み味ですが
海の漂白民の話や、女たちの座の話あたりは
どことなくル=グウィンのアースシー世界*2を思わせる趣があります。
他作品と比べるのもちょっとアレですが、ハヤシは
ル=グウィン好きなもので…スンマセン……。
同じ女性作家でファンタジー作品ということもあるでしょうが
あのシリーズにある自由な空気や、広大な世界観を
この“守り人シリーズ”も同様に持っているのだなあと
半ば陶然と作品世界を堪能させていただきました。
ああ、良質のファンタジーってホントすばらしい!!
作者先生いわく「全10巻へと舵を切った物語」とあるように
随所に次回以降からの物語の潮流の種が蒔かれていて
こちらも楽しみな限り。
次の刊行は年末あたりでしょうか?
楽しみに待ちたいものです。