『凶笑面』


凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)

凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)


北森鴻作品2冊目!


今回も連作短編形式で蓮杖那智シリーズの1作目ですな。


“本格系ミステリー”+“民俗学というブレンド物ですが


ともするとキワモノ感あふれる内容を
民俗学」というベールを一枚かぶせて
読みやすく馴染みやすく仕上げてあります。


進行は簡単なパターンで
民俗学の調査→思わぬ(殺人)事件に遭遇→事件解決
という一見、2時間ドラマ的な展開にもかかわらず


1短編で使われている民俗学上の問題が
それだけで他の作家だったら長編書いちゃうよ?というレベルで、一線を画してます。


またケレン味ある内容とはうって変わって
探偵役の大学教授・蓮杖那智がダークな雰囲気を醸し出していて
これぞ北森作品!といったある種の重い空気が立ち込めていたり。


前回読んだ『願わくば花の下にて』は連作性が強かったですが
今回のように比較的連作性の薄い話で一話一話どれをとっても
共通の味があるというのはなかなかどうして素直に、すごい!



んーでもせっかく、面白い(興味深い)話、今度は長編を読んでみたいですな。
※しかし長編では時間なくて読めないというジレンマ