『黒男』
- 作者: あとり硅子
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2001/10/25
- メディア: コミック
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修羅場の合間にさっくりと、ほんのちょっとの間隙を縫って…
しかも、産後は“細かい字を見ていると疲れるからやめなさい”な風潮があるので
読めるのが限られてきてしまい困っております。
そんな中、転居ついでに実家の蔵書も整理していて発掘したのがこれ。
ひとことで言うと…
あとり先生、最高ッ!!
もともと、数少ない好きな漫画家さんだったので、訃報に触れた際に
一気に全刊行物そろえたわけですが、唯一BLレーベルからの出版だったこの一冊だけは
ブックカバーがかけてありました(笑)
一読して「ああ、やっぱし、あとり先生だわ〜」と納得して本棚に戻して数年…
再読してみたらクリティカルヒットでした!
読み返して気づいたのですが、意外と“生と死”や、それにまつわる出来事をテーマにした作品が多いですな。
表題作の「黒男」なぞ、まさにそんな感じ。
思えばお気に入りの「藍色の夜」や「やまつみのころびね」もそういった作風の作品だったなあと…。
このところの人生いろいろ修羅場体験があったので、気づけたところかと思いまする。
あと「ラルゴ」を読んでて思ったのですが
極度に気弱な人が出てくるのもデフォですな!
一見、困った人に見えるこういう人たちを柔らく、やさしく、なにより魅力的に描けるのが素晴らしいッ!!
絵柄もそうだけど、独特のこのやわらかい雰囲気がなにより稀有だったなと…。
もう新作が読めないなんて、本当に残念でなりませぬ。
他に、こういうやさしさにあふれた世界を描ける作家を知らないもので…よけい残念ですな。