『愛国殺人』
- 作者: アガサ・クリスティー,加島祥造
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/06/14
- メディア: 文庫
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帰省時にお約束の相方実家本棚枠
前回は世界名作劇場でしたが今回はまたアガサクリスティーで。
手元に現本がないので脳内引用ですが
“どんな英雄だろうと、歯医者ではみじめな患者にすぎない”
…といったような描写から始まって、古今東西、洋の西東を問わず
アガサの時代から“歯医者ってユウウツ…”だったのかと思うと
なんだか溜飲の下がる気分がする不思議な滑り出しでございました。
冒頭でポアロさんのいきつけの現実的な歯医者らいしい歯科医師が
いきなり自殺してしまい、これはどうも事件の香りがする…
というところから話が広がっているのですが
怪しげなギリシャ人2重スパイやら、謎の失踪を遂げる婦人やら
事実上政財界の頂点を極めた富豪やら、感情的な自称革命家
はては、ダメダメそうな現代風の青年まで…
各種“あやしぃ”人物見本市の様相を呈しているあたり、
いかにもアガサ・クリスティー!
ただ逆にアガサクリスティーにしては割と捻りのない(反則技のない…ともいう)
ストレートな作品なので
あやしい人ばっかり…ってことは逆に最もあやしくない人物は?
と類推してゆくと、犯人を当てるだけなら正答にたどり着けるかと
もっとも動機に関しては「そんなん予想できるかーーーッ!」という具合ですが(笑)
また、最後の犯人とのやり取りはポアロの価値観が描かれていて
かなり硬派な仕上がり。
ミステリとしても面白いのですが、ポアロものの雰囲気が好き!という方には
ぜひぜひご一読をとオススメしたい作品です。
あ、硬派な仕上がりということで
今回は我らが愛すべきヘイスティングスは出てきません(笑)