『巷説百物語』京極夏彦・著、角川文庫・刊

巷説百物語 (角川文庫)

予告どうりにまずはこちらから。久々の京極夏彦です〜。
どうにもやるせない話が多いので、ついつい及び腰になちゃう氏の作品なんですが…。


巧い、実に巧い。


まったくもって食わせ者。ほとほと困り果ててしまいますッ。
次々現れる語り手たちの口から語られる様々な物語、
悲喜こもごも少しづつ重なり合い、絡まりあい、織りあげられて…
最後の最後にどんでん返しの〝仕掛け〟モノ


「御行したてまつる」*1


シメも鮮やか、まったくお見ごと見上げたものです。


しかもただの〝必殺仕事人〟モノでない構成の妙、
「小豆洗い」でお披露目、「白蔵主」やら「舞首」やら妖怪タイトルに恥じない(?)悪党どもの非道ッぷりになんだか半分、愉しみつつもイヤになりかけたところで最後に「帷子辻」。


妄執の物語をトリにもってくるあたり本当に、侮れない!


「悲しいやねえ、人ってェのはさあ」


そう言う又市の言葉は深い。


どうしても他人事フィクションで片付けさせない、
「悪党、覚悟!」でオトしてくれない!!

もう一度いいます…


巧い。実に巧い。


こりゃあ、『続巷説〜』読むしかありませんなあ…。

*1:本文表記は「御行奉為」だけどカナふりめんどくて