『ヴォイス』

ヴォイス (西のはての年代記 2)

ヴォイス (西のはての年代記 2)


ル=グウィンの“西の果ての年代記”2巻。

前回、北限に近い高地地方が舞台でしたが
今回は南限に近い都市アンサルが舞台です。


ちょっと極端だけど、はじめて巻頭の地図の意義を思い知ったぜい(笑)


アンサルは西方の異民族オルド人の侵略を受けて久しく
主人公の出自なんかもそれに絡んできます*1


リベラルな気風だった町もかなりの圧政にさらされていて
あらゆる書物が禁止されていたり、
女性の地位が驚くほど低かったりの驚くべきひどさ。


ついに一部の市民が反旗を翻し、ある程度政情が落ち着くまでが
おはなしのメインの流れ。




どっこい単なる革命の物語で終わらないところは、さすがル=グウィン


都市的な文化のアンサルは実は土着の神秘的な秘密が隠されていて…。


この都市的な部分と神秘的な要素の描かれ方が白眉です。


“問い”のために暗がりの泉に行くシーンや
“お告げの噴き水”がよみがえるシーンは
ページをめくりながらどきどきしたよ……。


前作の主人公オレックと、その連れ合いになったグライが
重要な役どころで出てくるのも嬉ところですな。


さて、次は3巻だ!!

*1:ありていに言うと混血児。