『村人の城・戦国大名の城〜北条氏照の領国支配と城郭〜』
- 作者: 中田正光
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2010/04/06
- メディア: 新書
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あまりの素晴らしい内容に全私が泣いた!!
一口で説明すると、戦国時代の“城郭”の構造と役割を
東京都八王子市にある滝山城址を主な例にとりあげて解説する一冊で
近年の研究によって明らかになった戦国時代の斬新な一面を
やさしく理解することができます。
※北条氏照は滝山城(と八王子城)を治めていた後北条氏の人です
・戦国モノ兵力数字はやたら多いけどそんなにたくさんは武士がいたのか?
・信長の比叡山焼き討ちはどうして一般市民もたくさん犠牲になったの?
・“城山”って地名、全国津々浦々にあるけど城なんて無いじゃん!
…等々、ここっと戦国をかじると「???」っとなる
不可解の数々がするする解けるこのありがたさよ!!
おかげさまで目から三鱗紋が何枚も剥がれ落ちたよ!
↑ここ、笑うところです。
ちなみにこれらの答えは
→実際の武士(騎馬)にたくさん平百姓が随従してました
→付近の一般市民は戦闘時に寺社仏閣に避難していたので犠牲になりました
→“城山”は戦乱時の一時避難所で、立派な城郭が建っていたわけではない
それぞれ丁寧に、具体例を引いて説明してるので説得力も折り紙つき。
きょうび“戦国ブーム”らしいですが、こういう良著がたくさん刊行されるというなら一生“戦国ブーム”が続いて欲しいよ!!
私自身はイマドキ戦国ブームの歴女ではなくて、高校時代ぐらいから個人的に興味が出て地元の歴史を中心に地味に調べものしてきたアナログ派なのですが
普通に、いまのちゃきちゃきの歴女さんにもおススメです!!
みんな読め!そして(わかりやすさに)泣け!!
………。
と、まあ大雑把な感想はこんなところで…個人的なヤツも書いときます。
まさか“北条氏照の領国支配と城郭”などというマイナージャンルで本が出ると思わなかった!!
しかも値段840円(+税)!!千円出しておつりがくる!!!
なんて良心的なんだ!!
これでもう図書館で禁出帯の“多摩のあゆみ”とにらめっこしなくてもいいんだッ!!
※まあ、かれこれ10年ぐらい前の話だけど
ああ、なんと素晴らしい時代!!
また、同じ北条氏照の城モノでも八王子城でなく
滝山城というのも面白い。
落城時のエピソード(“戦国に終わりを告げた城”的な)や
復元された御主殿跡などのわかりやすい史跡や
圏央道開発時のクローズアップでやはり知名度は八王子城に劣りがちだけど
どっこい滝山城だって負けない良い城だ!!
ことに桜の時期の美しさは筆舌尽くしがたいんだぜ!
都民はみんな花見に行けばいいのに!!駐車場ないけど!!
※バスに乗りましょう
具体例が自分の地元なので、たくさん出てくる地名や資料、
城郭、地図などもなじみがあって思い出深かったり。
あ、小河内ダムの博物館に展示してあった書状のことかなあ、とか
そうそう、拝島大社の山門のところに寄進の経緯の立て札があったっけ、とか
氏照は最初は恩方のほう(由比)に居たんだ。あのあたりも良いところだよね、とか
細かいところがとても懐かしく、いとおしく、読んでいて楽しかったです。
近年、埼玉に越してしまったのですが、わりと近所(入間市宮寺)が
氏照の直轄地だったのには驚いた!
…って気がついたら、またすごい長い記事を書いているなあ(笑)
最後に、本文の結びが氏照の時世の句になっているお約束なところや
あとがきの滝山城に対しての思い入れの文章もとても素敵でした。
ああ、もう楽しくてためになっておなかいっぱいな本だ〜
あとでもう一回読み直そう!(笑)
5、6年前花見がてらデートがてらに行って以来、
滝山城址には足を運んでいないですが
今度の春には家族を連れてまた、お花見に行きたいですね!
作者先生、素敵な本と有意義な時間をありがとう!!