『将国のアルタイル9』
- 作者: カトウコトノ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/08/09
- メディア: コミック
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (10件) を見る
気がつけばアルタイルも9巻かあ…すっかり長編漫画ですな!
今回は鎖国している北方の専制君主国ウラド王国を
帝国包囲網に参画させようと外事局長マフ君奮闘の巻ッ!
…っていきなり、ハダカ首輪の刑はないだろッ(笑)
鎖国している閉鎖的な国柄なため結構な大国の正式な外交官なのに
精密に入国検査を受けるハメに…この漫画にしては珍しく
ちょっと読者サービス?な描写で驚いたよ…
まあそんなんはおいといて、ウラド王国ということで
名前からしてうすうす感づいてはいたけどッ
やっぱりハンガリーのブラド・ツェペシュだーーーッ
ドラキュラのモデルで有名なハンガリーの王様の人ですな。
お馴染みの串刺しもちゃんと出るよ!!
でも恐怖政治の独裁者というよりは、あえて鎖国策で生き延びてきた
北の王国の厳格な王、といった役どころです。
そこらへん歴史モノごった煮的アルタイルらしい渋い役回りで
実際にモデルの方もハンガリーでは強大なオスマン帝国に対抗した英雄的な側面も強いという話なので、まさに面目躍如、汚名返上というところですな。
相変わらず元ネタ世界史事情が楽しい良い作品だアルタイル!
また、ゲストキャラで出てきた姫君がかわいらしくて
いい感じに和んだりもしました。
一方、帝国のルイ大臣ほうも相変わらずの知略戦略先手必勝!
ヴェネディクにいっぱい食わされたと思ったら
そのヴェネディクも参加した対抵抗包囲網の上を行く
中海封鎖の大仕掛け!!
ああ、続きが気になる、気になる、気になる!!!
また、今回始めて帝国側の内部事情も出てきます。
過酷な領土拡張策をやめて内政重視の国への転換をという
当然の主張も出てくるんだけれど
“帝国”とはそもそも存続のために領土拡張し続ける誰にもとめられないバケモノだから無理だというルイ大臣の主張が印象的でした。
逆を言えば、ルイ大臣ほどの秀才でも“帝国”の性を変えることはできない
もちろん皇帝でさえも…ということなのかなあ。
結局、この漫画の最大の敵は“帝国主義”そのものだ
…ということになりそうです。
それに対抗するトルキエ他の諸国が政治的商業的な“連帯”で挑むのは
なるほど図式としてもきっちりしているし、見事だなあと惚れ惚れ。
似たような例だと上橋菜緒子の“守り人”シリーズの最終章が
やっぱり領土拡張型の“帝国”の侵攻を
小国が連帯して対抗したお話だったなあと思い出したり。
こちらでは侵攻を跳ね除けたあと、おそらくは“帝国”は
商業主義的な国家に変化してゆきそうな気配だったけれど
アルタイルの“帝国”ははたしてこういった路線変更できるのか?
それとも滅亡まで突き進んでしまうのか?
そこらへんも見所になってきそうな気もします。
はッ!まだ3冊感想書かなきゃなのに筆が滑りすぎたッ!!
ではでは最後にヒトコト…
今回、書類にサインしに行ったら海ポチャで
一見散々に見えるレレデリク姐さんだけど
本当に散々だったのはロウ提督と副官さんだよッ!
前回、意に沿わない海戦で捕虜の憂き身で解放されたと思ったら、また海ポチャ…。
提督なんて老体なだけに、この先この漫画を最終回まで生き抜ける気がしないです。
もう休ませたげなよぅ、休暇的な意味でッ!!
そんなどーでもポイントにツッコミいれつつ待て次巻!