『獣の奏者・王獣編』
やっと読み終わったああああ!
アニメでハマって、年始から読み継いできた『獣の奏者』もひと段落!
続編もあるけど、ライトな感想を見ると
『ゲド戦記』の4巻以降を髣髴とさせられるんで
ちょっと冷却期間をおく予定です*1
さて、王獣編はエリンとリランが始めて竪琴で意思の疎通を図るところから
降臨の野(タハイ・アゼ)の決戦の顛末まで。
後半戦はアニメ同様シビア展開ですが、原作はよりハードというか
殺伐としててびっくり!
ラストは若干違うけれど(原作はエピローグ部分がない)、おおむね
ストーリーは同じでアニメのほうが映像化としての配慮や
息抜き部分*2があったり
少し説明を入れて、わかりやすくなってる部分があったり。
アニメの毒のキリク先生はアニメオリジナルなのは知っていたけれど
彼のおかげで大公領民と真王領民の対立の複雑さが良くわかったし
ついでにイアルに毒を飲ませるシーンもダミヤの身体を張った悪役っぷりも
際立って、いや〜アニメ的に重要な人だったんだなあ
うっかりアニメの話をしちゃいましたが、もちろん小説として
左手負傷事件以降からラストまでは
ぐいぐい話しに引っ張られてかなり没頭して読みました。
これは原作から読んだら、とてもじゃないけど
話が気になってページをめくる手が止められなかったろうなあ…。
※それが上橋作品です
主人公だけあってエリンの複雑な心理描写が続くのが
しんどかったけれど、もともとこれしんどい話だったな
といまさらながら思い出したり。
同じ上橋作品でも“守り人シリーズ”のバルサは
心身ともに強靭な、いわばスーパーウーマンな面があるけれど
エリンは王獣と意思の疎通がある程度はかれる、というだけで
生身の等身大の女性としての姿がこちらに迫ってくるので
彼女の虚しさや悲しさ決意が妙にリアルに感じられました。
決して勧善懲悪な話でない分、こういう“普通”さのある主人公が
翻弄されてゆくさまは読者としてはすごく痛い
でも痛いからこそ、物語としては強い。
アニメから入ったけれど、アニメと小説
二つの『獣の奏者』
どちらも心に残る作品になりました。