『神の守り人』

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

神の守り人〈上〉来訪編 (新潮文庫)

神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)

神の守り人〈下〉帰還編 (新潮文庫)


今回も面白かった!


物語の安定感が心地良い!


複雑な背景があるけれど、わかりやすく書いてあり
重いテーマも含んでいるけど、決着もちゃんとつけ
かつ面白い。


文章に表すとそれだけのことなんだけれど
これを破綻せず、ブレもせず書ききってあるのがすばらしいです。


読み始めたのが『精霊の守り人』文庫化からだから
上橋菜穂子作品読み始めてまだ日が浅いのだけれど
それでも、今の日本でこの作家ほどの力量がある人が
どれだけいるかなあと、ちょっと考えてしまいました。*1


本当にレベルが高い……。


ひとつには主人公であるバルサが成熟した大人なので
行動や感情にほとんどブレがないというのと


タンダのようにシリーズの他作品で既出のキャラクターの
人となりを知っているので安心できること


世界観がだいたいわかってきたので
物語のなかの出来事に読者が振り回されにくいこと


…など、理由はあるんだけど、やはり作者の力量に負うところも大きいかなあと痛感。


そのようなわけで今回もどっぷりと、楽しませてもらいました。
日常で忙しい中、ちとせかせか読んでしまったので
そのうちもう一度、時間をとってゆっくり読みたいなあ…。


さて、真面目な感想はこのぐらいでまとめておいてと



しっかしバルサ強いなあ!!


腕っ節というのもあるけど精神的な部分もすごいよね、という。


あとがきに…


   自分に出切ることとできないことを悟るようになった人は
   甘い幻想に逃げることをせずに、淡々と、自分ができることを成し遂げていけるのではないか


…とありますが、まさにそんな人ですね、バルサ


作中でも罠にはまって死に掛けたりと万能じゃないんだけど
でもそういう“弱い”部分も魅力的だから困っちゃいます。


何気に実年齢が自分に近かったりして、わかるような気もする描写があって
そこらへんもうならされます(笑)


あ、あと相変わらずの感想ですが


ダンダがすごい好きだ(笑)


呪術の才能がそこそこあったり、薬草や怪我の治療に精通していたり
ついでに料理がやたらうまかったりはするものの
バルサに比べればに遥かに“普通の人”なんだけど


その分、地に足の着いている彼の描写が妙に良いんだよな〜


途中でバルサの看病をしているときに
寝ている他の人を起こさないよう忍び足で水を汲みに行く姿とか
なんでもないシーンが妙に記憶に残ります。


今後の文庫化、だいたい年1冊くらいのペースかな〜と思うのですが
気長に続きを待ちたいです。


実は『獣の奏者』も文庫版手元にあるのですが
アニメを毎週すごく楽しみにしているので
うっかり原作読めないという…くそう、読みたい!でも読めない!!


ともかく、次が楽しみな小説があるというのは良いものです
※あれ?先週も同じ事、言ったような…

次回更新


次はセブドラ総括か、サガのサントラBOX感動の続きですな。
しばらくはブログもがんばってゆきたいところです。


本は次はどれ読むかまだ決めていないけど
1冊ぐらい読みたいなあ…


では本日はここまでっ!

*1:他作家と比較になっちゃうけど、宮部みゆきぐらいスゴイと思う