『1Q84 BooK2』

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2


正直後半、リーダーと青豆さんの会話あたりからの展開が急すぎて
かなり置いてきぼりになりそうでしたが、なんとか喰らいついて読みきれました。


しかし、前巻と比べるとあまりに現実離れしてしまうので
こういう展開に慣れていないと「わけわからん!」で終わってしまいそう*1で怖いです。


どうだった?と知家族、友人に聞かれても
正直、他人にはあまり勧められないなあ…


村上春樹作品では作中、他の文学作品やら何やらがよく引き合いに出されるますが
今回、少しは自分でも読んでたものが混じってたのが超展開の理解を助けてくれました。


ずばりフレイザー卿の『金枝篇


よ、読んどいてよかった…。


これで“リトル・ピープル”の概念がだいたいわかったので
それまでモヤモヤしていたものが霧が晴れるように解消しましたぞ。


そういえば以前も『羊をめぐる冒険』に関連して
「羊男は地霊的な存在を意識して描いた」云々と聞いた覚えがあるのですが
“リトル・ピープル”もそれ系の存在と言うことで腑に落ちました。


読み進めながら大まかに思いついた感想ですが、要するに


“不思議の復活”の物語なのかなあと


平野啓一郎の『日蝕』とか大江健三郎の『宙返り』とかあたり
自分の中ではこのジャンルだったので、これもその系譜の作品かと。


そう考えると作中に出てくる団体「さきがけ」がオウムを連想させるあたりも
うまく納得できます。


“リトル・ピープル”関連以外は前回の感想の気になる点の線で大丈夫そうだったので
ひとまず良かった。


あんまり、文学読み下すの得でないですが、今回はうまくできて
ちょっと得した気分でした。


終わり方はちょっと、尻切れトンボと言うかあんまりだーーーなラストですが
青豆と天吾、2人個人の物語としては、これ以上展開できない
行き着くところまで行ってしまったラストなのでこれで良いのかと


さて、後はライトな感想をオマケ的に…



青豆さん、ステキすぎ!!


こんな完璧な主人公みたことないよッと言うぐらいにパーフェクトで惚れました。
等身大の女性像とはいえない彼女ですがなんと言うかアレだ!


 さすがは青豆さん、俺らにできないことをやってのける!
 そこにしびれる、あこがれるううううう


…的な具合です。冗談でもなんでもなく、ホントに。


こうまで強く“タフでクールな青豆さん”見せ付けられたら
同性読者としては惚れる以外に選択肢がないんじゃないのかなあ…。


しかし、青豆さんのあおりを食らうかたちで、天吾くんはわりと等身大と言うか
貴様、もすこし、しゃっきりせんかーー!と読後ちょっとムカッときたり(笑)


しかし強い意思があり愛のある青豆さんが物語の中でピリオドを迎えて
やっと意思と愛との萌芽を獲得した天吾くんが新しい人生のスタートを切る
と言うのはとても皮肉と言うか、ある意味救いがない気がしないでもないです。


それでもこの物語が書かれた、ということは
きっと作者氏が


まだ文学にもできることがある
語るべき言葉、あるいは物語がある


…と思っているからかなあとぼんやり考えました。


他人には勧めないけど、個人的には読んでよかったし面白かった。


たまにはベストセラーも悪くないですな。

*1:ノルウェイの森』状態と言うか…