『ポアロのクリスマス』


去年はすっかりサボってしまったクリスティーポアロもの。
悔いが残っていたので今年は、いの一番に読んでみました!



まあ、思いっきり季節はずれですがッ
※終わったばっかだから…クリスマス…



表紙をめくってすぐに…


   「もっと血にまみれた、思いっきり凶暴な殺人」を(中略)
   そこで、こんど書いたのが、この物語です


…とあるように。


思いっきり大上段振りかぶって王道貫いた陰惨な事件です


舞台は去る地方に鎮座する豪勢な邸宅
殺されるのは、偏屈で悪魔的な大富豪の老人
被疑者はどれもこれも一族のものばかり…


そして当然クリスティーらしくみんなあやしい…(笑)


そもそも作中人物いわく


   「平和、善意−−−その他、そういった精神が
   人々の心にいきわたっている…」



…はずのクリスマスに、こんな陰惨極まりない事件を持ってくるあたり
クリスティーの本領発揮というか、茶目っ気です。


これだけ狙いまくった“あざとい”設定、
“火サス”的な俗っぽいだけの三流作に落ちてしまっても仕方あるまい…
などと思いつつページをめくるわけですが



どうしてどうしてこの、洗練された面白さは!



犯人およびトリックは、やっぱりクリスティーなわけですが*1
登場人物、ことに殺された富豪の子息3人の妻たちリディア、マクダリーン、ヒルダに
孫娘のエストラバス嬢の魅力的なことといったら!!


男どもなぞは人物としては紋切り型で面白みがないので
余計に女性陣が際立つという趣向。


ミステリとしてのトリック、犯人当てにはさほど必要でない要素かもしれませんが
実に面白い読み味でした。


また作中あれだけアイロニカルに描かれていた登場人物たちが
終幕で生き生きと新しい人生に踏み出して行く鮮やかさは
解説にも触れられていましたが、本当に見事です。


最後の最後に希望に満ちたらストを提示する
クリスティーの手腕はやっぱりミステリの女王にふさわしいものですな!


これに勇気を得て、今年はもっとクリスティーを読んで生きたい所存です。

次回更新


…やっと読了ストック片付けたわけですが


あれ?次なに読めばいいんだっけ?状態


一転、ダメダメじゃん!


とりあえず、地道に本棚の未読本、手付かずあれこれを勝たしてゆかねば…


読書以外では現在、Wiiウェアの“FFCC〜小さな王様と約束の国”に夢中なので
そのプレイ記を載せたいところ。


ではでは本日はここまでッ!
   

*1:例によって半分、反則技的なオチ