『ポアロのクリスマス』
- 作者: アガサ・クリスティー,村上啓夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/11/11
- メディア: 文庫
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去年はすっかりサボってしまったクリスティーのポアロもの。
悔いが残っていたので今年は、いの一番に読んでみました!
まあ、思いっきり季節はずれですがッ
※終わったばっかだから…クリスマス…
表紙をめくってすぐに…
「もっと血にまみれた、思いっきり凶暴な殺人」を(中略)
そこで、こんど書いたのが、この物語です
…とあるように。
思いっきり大上段振りかぶって王道貫いた陰惨な事件です
舞台は去る地方に鎮座する豪勢な邸宅
殺されるのは、偏屈で悪魔的な大富豪の老人
被疑者はどれもこれも一族のものばかり…
そして当然クリスティーらしくみんなあやしい…(笑)
そもそも作中人物いわく
「平和、善意−−−その他、そういった精神が
人々の心にいきわたっている…」
…はずのクリスマスに、こんな陰惨極まりない事件を持ってくるあたり
クリスティーの本領発揮というか、茶目っ気です。
これだけ狙いまくった“あざとい”設定、
“火サス”的な俗っぽいだけの三流作に落ちてしまっても仕方あるまい…
などと思いつつページをめくるわけですが
どうしてどうしてこの、洗練された面白さは!
犯人およびトリックは、やっぱりクリスティーなわけですが*1
登場人物、ことに殺された富豪の子息3人の妻たちリディア、マクダリーン、ヒルダに
孫娘のエストラバス嬢の魅力的なことといったら!!
男どもなぞは人物としては紋切り型で面白みがないので
余計に女性陣が際立つという趣向。
ミステリとしてのトリック、犯人当てにはさほど必要でない要素かもしれませんが
実に面白い読み味でした。
また作中あれだけアイロニカルに描かれていた登場人物たちが
終幕で生き生きと新しい人生に踏み出して行く鮮やかさは
解説にも触れられていましたが、本当に見事です。
最後の最後に希望に満ちたらストを提示する
クリスティーの手腕はやっぱりミステリの女王にふさわしいものですな!
これに勇気を得て、今年はもっとクリスティーを読んで生きたい所存です。
次回更新
…やっと読了ストック片付けたわけですが
あれ?次なに読めばいいんだっけ?状態
一転、ダメダメじゃん!
とりあえず、地道に本棚の未読本、手付かずあれこれを勝たしてゆかねば…
読書以外では現在、Wiiウェアの“FFCC〜小さな王様と約束の国”に夢中なので
そのプレイ記を載せたいところ。
ではでは本日はここまでッ!
*1:例によって半分、反則技的なオチ