『妃は船を沈める』

妃は船を沈める

妃は船を沈める


短編集ならぬ、中篇2本立てという
なんだかちょっと中途半端な気もする一冊。


とはいえページ数、ボリューム、トリック
作中人物の魅力*1、物語の雰囲気、余韻


どれをとっても過不足なく有栖川有栖


完成度的には、もはや成熟老成の域に達している気もいたします。


作中のツナギにもなる“猿の手”の解釈談義も
なかなかスパイスが効いていて良い具合。


久々の火村先生としても楽しめました。



が!!



これって単行本にするほどの話なのかーーー!


おそらく一昔前なら確実に
ノベルスで収まっていい分量だと思うのですよ!


昨今のライトノベル隆盛の功罪で
“ノベルスのラノベ化”が進んで久しいですが
※そして自分だってラノベ大好きだけど


同時に“ノベルスの単行本化”も進んでいるといえるのでは?


……。


ぶっちゃけ財布に厳しいです。すごく…。


ああ、新本格ミステリはついに贅沢嗜好品になってしまったのかッ!


本の面白さもさることながら、
ちと外の事情の世知辛さを感じさせる一冊でした。


次も単行本だったらどうしよーーー(泣)*2

*1:これはシリーズものゆえ前作からの引継ぎがおおきいけど

*2:いや、有栖川先生は買うけど!