『女王国の城』


女王国の城 (創元クライム・クラブ)

女王国の城 (創元クライム・クラブ)



この日を何年待ったことかッ!



“待望の〜”という決まり文句がこれほど似合う作品も
他にはありますまい…というほど待ちに待った



学生有栖シリーズ第4弾です



おかえりなさい!江神先輩ッ*1


作品としては有栖川有栖ひさびさの大長編ということで
読み応えがある作品に仕上がっています。


推理小説としての完成度もとても高く、特に後半の謎解きが近づくにしたがって
めぐりにめぐらされた伏線がズイズイと回収されてゆく様は圧巻!


トリック自体はミスリードに惑わされずに、
理論的に消去法で行けば核心にかなり近づけるかと…


いや、ミスリードにどっぷり使ってダメだったんだけどね自分は…*2


ともあれ…



この正統性が有栖川有栖



…と、有栖川先生のの真髄を思い出させてくれる良き一冊です。



素晴らしきかな、新本格!!



弱点はというと、少々、長すぎること
後半の描写は一部の隙もないほどに素晴らしい反面、
前半は少しばかり冗長に過ぎる嫌いがあるかと。


前作の『双頭の悪魔』は有栖川有栖、最高傑作の声も高く
やはり続編となると、ベテラン大御所の域に片足突っ込んでいる
有栖川先生ですら肩肘張ってしまうことがあったのかな?とぞ、想像。


でもそんなこととは関係なく、もうただひたすら続編が拝めたことが嬉しく
そしてその内容も充分楽しめるものでした。


ありがとうございます、有栖川先生ッ!


今度も何年でも生あるかぎり20年でも30年でも待ちますから
続巻よろしくお願いいたしますッ!

*1:待ってる間に先輩の歳を追い越しちゃったよ……笑

*2:『双頭〜』ん時もそうだったよね…自分…