『夜市』恒川光太郎

夜市

夜市




第12回日本ホラー大賞受賞作!


…てことで“〜全選考委員激賞!”の帯も華々しい一冊ですな。


内容は受賞作の「夜市」とひとつ「風の古道」の2本立て。
短編集というにはちと長いので中篇2作というべきか…。


上記のように受賞ジャンルは“ホラー”なのですが



読み味としてはファンタジーが近いかと


しかも久々に透明度の高い作品を読めました。
これはありがたいことだ!


ミステリと同じように“広義の”という枠組みがホラーにもあるなら
“広義のホラー”ともいえるかな?というくらいの軽いテイスト。


華々しい宣伝攻勢やホラーとしての読み方をするよりは
のんびり構えてページをめくったほうが楽しめるかと存じます。


あまり他、作家、作品を並べるのもアレですが
マンガの蟲師長野まゆみ女史の作品が好きな方は
この一冊も有意義に読んでいただけるかと…。


文体も簡素かつ流麗で、独特の世界観をうまく描き出しているし
ストーリーも無駄が無く、登場人物もミステリアスかつ魅力的


久々に“よい雰囲気”の寡作に出会えたなあ、
というのがハヤシ的感想でございます。


どこか深い森で深呼吸するような、新鮮な空気を味わえました。


小一時間程度で読了できたのも、ありがたかったし
作者氏はあまり大賞いただいたと気負わずに、
また、良い作品を書き継いでいってもらいたいものです。