『ゲド戦記外伝』

ゲド戦記外伝

ゲド戦記外伝


長かったシリーズもついに読み終わってしまいました…


やっとグランドフィナーレ!とおもいつつも
一抹の寂しさを覚えずに入られませんな。


昨年の映画化がなかったら、3巻以降は老後の楽しみに封印しておくつもりだったので余計に感無量。


内容的には短編集で、本編よりはるか昔のロークの魔法学院の設立秘話から
再収監で断片的に触れられているアイリアンの話*1まで
5つの短編を時間軸に沿って並べています。


巻末にはアースシー世界の解説もついて
まさにファン必携!といった面持ちの一冊です。


短編がまたどれも素晴らしくて
「カワウソ」や「トンボ」はいかにもゲド戦記らしいなあと思わされるし
「地の骨」はオジオン様お話でホクホクと読ませてもらいました。


「ダークローズとダイヤモンド」や「湿原で」は
素朴だけれど味わい深い
最近のル=グウィンらしさの光る作品です。


個人的には「湿原で」が好きだなあ…。


また「トンボ」は以前読んだ早川文庫のアンソロジー
『ファンタジーの殿堂③伝説は永遠に』に収録されていたので一読すんでいたのですが
やはり翻訳者さんが違うとまったく違う作品に見えますな…。


やっぱりシリーズを通して清水真砂子女史の訳に親しんでしまっているので
ファンの方は一度読み直したほうがよろしいかと。
なんというかみずみずしさが違います。


さて、ル=グウィンの一大シリーズをついに読み終えてしまい
今年は、そしてこれからいったいどれだけ
ル=グウィンの作品を読んでゆけるのかなあと
ちょっと寂しくもありますが。


まずは、アースシー世界を心行くまで堪能できたことを喜んでおきたいと思います。


そのうち纏まって時間ができたらまたシリーズ通して再読しよう、っと!

*1:こちらでは“トンボ”、原題は“ドラゴンフライ”