『国家の品格』
- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/20
- メディア: 新書
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いわずと知れた200万部ベストセラーでございます。
新潮社新書おなじみの〝講演会を本にしました形式〟で読みやすうございました。*1
大雑把に内容をくくってしまうと、
現在世界に横行する〝論理至上主義〟*2に潜む、根本的な欠陥を指摘して
それを補完する〝情緒と形〟いわゆる品格の重要性を訴える
…といった具合でございます。
冒頭の序文に既に
これから私は、「国家の品格」ということについて述べたいと思います。
わが国がこれを取り戻すことは、いかに時間はかかろうと、現在の日本や世界にとって性重要課題と思います。
(中略)
もっとも、いちばん身近で見ている女房に言わせると、私の話の半分は誤りと勘違い、
残りの半分は誇張と大風呂敷のことです。
私はまったくそうは思いませんが、そういう意見のあることはあらかじめお伝えしておきます
…とぞ、あるように
「わかり易く、読みやすい」=「けっこう大雑把」でございます
でもそこが本書のイカンところであると同時に、とてもいいところで(笑)
多少の胡散臭さを感じつつもああ、そういうところもあるかもな〜と共感できたり。
だいいち人様の考え方を綴った本なんだから、
自分と違うところ(胡散臭いところ)や、自分と同じところ(あるある〜なところ)があって当然ですな。
このテの教養新書をほとんど読まずに来てしまった為、
イマイチ、読み味の活かし方がわからんのですが、
少なくとも『バカの壁』よりはためになりましたぞ!
さてさて昨今、どーも文化的社会的に良い話題のないところで
〝日本の情緒や文化を大事にしなくてななりません!それは誇らしいことなのです!〟
といわれると「うんうん、そうだよな〜」と思うし、
まだそういった美徳的なものが残っているのかと思うと嬉しいのも事実。
どっこい〝祖国愛を深めましょう!〟といわれると、ちょとひいたりもしたり。
ちょうど「愛国心教育」が政治の部門で話題になってますが、
大概の日本人は言われなくても日本が好きだし、
ナショナリズムに陥らずにちゃんと他の国も尊重できるのでは?
少なくともハヤシは日本が好きだし、税金も年金払うし、選挙も行くぞ!*3
……しかし、日本の名作をあまり読んでないのは否めませぬなあ………。
作中で〝若いうちにちゃんと古典、名作を読まなければいけません!〟とあるのですが
これに関しては頭が上がりませぬッ!
ともあれ、新書にしてはカンタン読めるうえ、
身につまされたり我が身を顧みて考えたりする〝思想の体操〟に良いので
小一時間程度ヒマがあるのなら、一読をオススメいたします。