『ハムレット』

ハムレット (新潮文庫)

ハムレット (新潮文庫)


ハヤシの相方は古典ミステリ*1やハウス名作劇場モノの原作を若い頃読んでいたらしく、実家のお部屋にまさに名作本棚があったりする渋い人です。*2


ついでに演劇も好きらしく、演劇原作コーナに混じっていたのがこれでした。



「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」



名セリフで有名なシェイクスピアの名作中でも基本の基本でございます。
上記の名セリフはちょっと訳が変わってて



世か、死か、それが疑問だ。(P84)


…になっておりました。
もともと読破数の名作率は高い方でないので、
本当に名セリフが出てきてちょっとびっくり(笑)


シェイクスピアは今年2冊目で、『オセロー』ぶりですが、
悲劇トーンは変わらずとも、印象は随分違っていたり。


『オセロー』が愛憎の烈火の悲劇なら
ハムレット』は怨嗟と苦悩の沼にはまり込むような冷たい悲劇でした。


個人的にはまだオセローよりはハムレットと歳が近い?せいか
後者のほうがすんなり頭に入ってきました。


精神均衡や行動の変遷に統一性がない、とよく言われるらしいですが
いや、若者ってこんなものかと……。
そういう意味では現代に翻訳して再構築しても面白い素材かもしれません。


さて、齢2×才にて初めて読んだわけですが……。


古典作品って、ある程度歳食ってから読んだほうが良いですな!


シェイクスピアのしかも4大悲劇レベルになると、後世に与えた影響がでっかく
ハヤシごとき、へっぽこでも引っかかりどころがたくさんありました。


でも、10年前だったらその引っ掛かりどころのどれも掠ってやしなかったという…。
いやあ、歳をとるって素晴らしいですねッ!!


本編ももちろん素晴らしいですが、後世の作品の関連がちょっとでも
拾えたほうが楽しいし、教養としていいかも…。


いや、活かす場所はないけど…教養とか……orz


そんなわけでハヤシ的引っかかりどころですが…

サラ・ベルナールの『ハムレット


…というかミュシャのポスターですな。


ちょうど数年前のミュシャ展に運良く行けて*3図録も買っておいたので
久々に引っ張り出して眺めてみました。


もともとお気に入りの作品でしたが、原作読んでから見るとまた違った趣があって
大変よろしゅうございます。


ハムレット』巻末の解説で…


シェイクスピア作品中もっとも上映されている作品の一つ〟


…とありましたが、なるほど、このポスターを見ているとそれが実感できますな。
舞台装置も豪華そうだし、ちょっと自分も演劇で見てみたい気がいたします。


そういえば、数年前の〝ワシントン・ナショナル・ギャラリー展〟でも
オフィーリアの絵が出ていましたな。


………。


ハヤシは行けなかったけどねッ!!


友人とマイ・ベスト・美術展の話が出るたびに、
「あれが一番良かったよ〜」といわれるので、悔しくて、悔しくてなりませぬ…ッ!

復讐するは我にあり!!


ハムレットでは主人公が父の亡霊に真相を聞き復讐を決意するものの
すぐに実行に移さずに懊悩しやがては破滅して行くという筋になっておりますが、
同じ〝復讐モノ〟の王道といえばやっぱりこれかと……。


アレクサンドル・デュマの『モンテクリスト伯


こちらは復讐を志したら一直線!!のハデハデ行動派ストーリーで
最後も悲劇ではなくハッピーエンドですが、やっぱり思いまします。


しかももとは某GONZO制作のアニメ版〝巌窟王〟から入って
原作コースという、駄目駄目ミーハー路線なのでにんともかんとも(笑)



さて、引っ掛かりどころですが
ハムレット』の名セリフ「世か、死か〜」の続きがあって
そちらが、おや?ときました。


死は眠りに過ぎぬ―――それだけのことではないか。眠りに落ちれば、その瞬間、一切が消えてなくなる
胸を痛める憂いも、肉体に付きまとう数々の苦しみも。
願ってもない幸いというもの。死んで、眠って、ただそれだけなら!


確か『モンテクリスト伯』でもこんなようなシーンがあったと思うのですが…


すんません、岩波全7巻から探す気合がありませんでした…ッ


かわりに、アニメ版の公式本見てたらこっちはちゃんと載ってました。


そう……死はすべての最終局面だ。
……しかしそれは苦痛からの解放に過ぎない……。


それも23幕(事実上の最終回)*4モンテクリスト伯のセリフでした…ッ


おおォ…っ!!


ハムレット』では主人公が自死を思って苦悩するシーン、
巌窟王〟では復讐者たる伯爵が最大の仇敵に「だから死ぬよりツライ目にあって苦しめ!」と突き放すシーンで意味が真逆ですが、
根底にある観念みたいなものは一緒かなあと……。


同じ〝復讐モノ〟で展開は間逆でも、根本に同じものが横たわっていると思うと
ちょっと見る眼が変わってきたり。なかなか面白いものですな。



そんなこんなで…


今年に入ってシェイクスピア4大悲劇を2つもクリアしましたぞ!


おおォ…っ!


自分にびっくり!!今までシェイクスピアなんてろくすっぽ読んでなかったのにッ!*5


残るは『マクベス』と『リア王』ですな。よ、よめるかなあ…。


筋だけでもぱらっと見てみると、かなりガッツリ系で不安は残りますが
機を見てチャレンジしてみたいとぞ思います。



そういえば今日はけっこう真面目に読んだので久々に
〝これもオススメ〟蛇足でも……
(もう記事で語っちゃってるが)


以下蛇足ですので興味のある方だけどうぞ(これもオススメです)

次回予告

さて、明日は所用アリにてお休みです…。
火曜日は見終わっている〝毎週エルガイム劇場〟からで…。


読書枠はそろそろ『ゲド戦記Ⅲ』を読む所存です。


ではでは本日はここまでッ!!

*1:主にアガサ・クリスティのポワロ物

*2:その上の段はアイドル写真集があったりするが…

*3:当時は東京在住だったし

*4:アニメは最終話まるまるエピローグだったから…

*5:喜劇は何冊か読んだけど…