『ゲド戦記Ⅱ こわれた腕輪』
キーワードで引っかかった方も、検索で飛んでらした方も
どなた様もこんばんは〜。
す、すみません今週一冊しか読めなかった…orz
しかも再読ですが、良い作品ですのでめげずに感想まいります。
- 作者: アーシュラ・K.ル・グウィン,ゲイル・ギャラティ,Ursula K. Le Guin,清水真砂子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1976/12/10
- メディア: 単行本
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感想
夏のジブリ映画で話題沸騰の〝ゲド戦記〟の原作第二巻でございます。
こちらも一巻の『〜影とのたたかい』同様、大学時代ぶりの再読です。
一巻の『影とのたたかい』が多島界を西へ東へ、
まさに世界をまたに駆けての大冒険だったのに比べて
今回の物語の舞台は〝うらびれたアチュアンの墓所〟と
一転、重っ苦しくて、どことなく陰惨な雰囲気。
しかもストーリーは〝名なきものたち〟に使える大巫女に
撰ばれたまだ若い少女の回りを言ったりきたりでなかなか
主役のはずのゲドが出てこないッ!!
初読時はここら辺でジリジリジリしながら読んでました(笑)
再読なので、もう頭で〝主役はテナー、テナーだよ〟と切り替えていたので
幼少時の丁寧な描写や、墓所での生活、迷宮の様子など
けっこう楽しめたり。
もちろん醍醐味はゲドに出会ってから、
エレス・アクベの腕輪を一つにして墓所を逃れ、
ハブナー凱旋までですが、巫女生活あれこれもけっこう面白かった。
やっぱりこの『〜こわれた腕輪』は〝大賢人ゲドの勲〝として読むより
〝一人の少女(テナー)が自分自身を取り戻す話〟として読むのが良いかと。
そう考えてページを手繰ってゆくと、この言葉の重さにははっとさせられます。
彼女が今知り始めていたのは、自由の重さだった。
自由は、それを担おうとする者にとって、実に重い荷物である。
勝手のわからない大きな荷物である。それは、決して気楽なものではない。
自由は与えられるものではなくて、選択すべきものであり、
しかもその選択は必ずしも容易なものではないのだ
自由になることが目的ではなくて、その先がさらに困難であると…。
このあとテナーが一人の女性としてどうやって、
アースシーの世界を生き抜いたかは
まだ未読の4巻以降に描写されているようです。
賛否両論のある続編のようですが、原作者のル=グウィン好きなので
わりとすんなりなじめそうな気もします(笑)
次はジブリ映画の元にもなる『ゲド戦記Ⅲ〜さいはての島へ〜』です。
また少し時間をおいてから読み進めようかと思います。
二人の〝大巫女〟
さてここからは、本編感想とはあまり関係のない蛇足的なところを…。
面倒だったら読み飛ばしてしまってけっこうです。
今回、再読していて否が応でも妹尾ゆふ子女史の『風の名前』*1を思い出しました。
(…というか、『風の名前』が〝ゲド戦記〟的要素を濃く受け継いでいるわけですが。)
もともと〝名前〟が世界の根元をなしているあたり、
〝ゲド戦記〟的風味があるな、とおもっていたのですが………。
〝一つの名前で延々と生き続ける大巫女〟は
まるきりおんなじ設定ですね(笑)
神殿がイマイチぱっとしないうらびれた雰囲気なのも似ているところ。
ル=グウィン好きなのに気づかないなんてダメじゃん!自分!!
ちなみにでは『風の名前』が〝ゲド戦記〟とまるきりおんなじか?
…というとそれは違います!(断言)
語られているテーマは違うし*2、世界観も空気は似ていても実質的にはまったく異なってます。
ただ、日本にもル=グウィン的な王道ファンタジー要素を持った作家*3が
ちゃんといるんだなーといまさら気づかされました。
まだまだ勉強(読書)が足りません!!
ううん、なんだか無性に妹尾女史の本が読みたくなってきました(笑)