『風の名前』


風の名前 (ファンタジーの森)

風の名前 (ファンタジーの森)


前回の『皇帝の華〜』*1に続いて、妹尾女史です。


うん、やっぱり妹尾女史はラストシーン型の作家のようです


最後の一行のためにこのお話はあったのではないと…。


世界観も面白くて『ゲド戦記』を髣髴とさせるような
〝名前〟がキーワードのなる世界、
全体的にトーンの暗い世界観もちょっとル=グウィンっぽいですな。


そういえば主人公の一人でもある妖魔使いが妖魔に名前をつけるのは
十二国記』の麒麟と使令の関係にも近いか…


古きよきファンタジー、名作ファンタジーの流れを汲んだ世界観とでも言いましょうか?
ファンタジー好きには良い作品ではないでしょうか?


…その分、ちょっと地味だからファンタジー好きじゃないと
辛いかも……(ぼそ)


基本的にはずっと、得体の知れない妖魔使いの青年と
大巫女の魂を宿した少女の
長虫なる巨大な幻獣を追う殺伐とした道中に始終するのですが、


大きなテーマは〝世界〟と〝神(女神)〟そして〝名前〟なので、
雄大なテーマが好き方にもオススメです。


〝女神〟のくだりなど、なかなかな秀逸で、
なるほど、さすがは
ミンサガの〝神〟多きマルディアスの小説を任された方とぞ思います。


これ一冊で、妹尾女史を終わりにするのは惜しいので、
なんとか他作も読んでみたいものです。


今度は群像劇みたいに、登場人物の多いお話がいいなあ…。