『熱氷』

熱氷 (講談社文庫)

熱氷 (講談社文庫)


いかがわしい青少年と、訳ありげな3、40代、
及びやさぐれたオッサンがヒートアップしてゆく話を書かせたら
この作家に勝るものはないなあと思う今日この頃……。


なにはともあれ久々、五条瑛作品でございますッ!


基本的には“ポセイドン”なる謎の存在に
姉の忘れ形見の甥を人質に取られた主人公・石澤が
要人暗殺をめぐる陰謀に巻き込まれてゆく一部始終の3日間の話。


主人公・石澤の愚直なまでの性格…というか“利用されまくり体質”は如何ともしがたいですが(笑)


そこがまたいい味出してるのも、事実だッ!


ほかの面々もスワロー(&グース)のお花どころから
うさん臭爆裂の滑川、ミステリアスなマヤ、やさぐれオッサン枠・鎌倉
…などなど各種取り揃えております。


ここに石澤と姉・朱音の背景、甥・光晴の出生の秘密といった個人的なエピソードが絡んでくるといった具合になっておりまする。


さらにはあわや日本史上最悪の暗殺事件か?!という
大風呂敷も加わって中々読み応えがございますッ!


最終的には“個人”の話、に帰結して言ってしまうわけですが
それはこの手の話の常なので………。

完結している話なので続編はなさそうですが
“なんでもマーケット”のスワロー&グースあたりは
他作品にゲスト出演してくれるとうれしいですなッ!